リンパ節転移を伴う胃粘膜内癌の臨床病理学的検討

石原　省, 中島　聰總, 太田　博俊, 山田　博文, 太田　惠一朗, 西　満正, 柳沢　昭夫^＊, 加藤　洋^＊

癌研究会附属病院外科, 同病理^＊

　胃癌の縮小治療（内視鏡的切除，縮小手術など）を行う際に，リンパ節転移の有無が問題となる．われわれは1966年から1987年までに切除した単発胃粘膜内癌症例で病理全割標本を作成した946例を対象に，リンパ節転移陽性例の臨床病理学的特徴を検討した．リンパ節転移陽性症例は10例で全体の1.1％であった．転移陽性症例の臨床病理学的特徴は，1．腫瘍径4 cm以上，2．陥凹型，3．UI-II以上の潰瘍または潰瘍瘢痕，4．未分化型のいわゆる表層拡大型早期胃癌であった．以上から粘膜内癌であれば，リンパ節郭清の面からはそのほとんどが縮小治療の対象となりうると考えられた．しかし現状では粘膜内癌，粘膜下層浸潤癌の深達度正診率は65.7％，53.8％と高くないため，症例の選択は厳密でなければならず，とくに潰瘍病変を伴う未分化陥凹型早期癌では注意が必要であると考えられた．

索引用語
gastric mucosal carcinoma, lymph node met astasis, limited operation for early gastric cancer, endoscopic resection for early gastric cancer

別刷請求先
石原　省　〒170　豊島区上池袋1-37-1　癌研究会附属病院外科

受理年月日
1992年11月11日

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