胆嚢摘除術後感染予防のための抗生剤投与法に関する研究

山口　久, 船曵　孝彦, 落合　正宏, 天野　洋, 丸上　善久, 藤田　真司, 亀井　克彦, 福井　博志, 二渡　久智, 松原　俊樹, 長谷川　茂, 今津　浩喜, 新井　一史, 森　紀久朗

藤田保健衛生大学船曵外科

　術後感染予防としての投生剤至適投与法を，胆嚢摘除術に限定しCefotaxime（以下CTX）を用いて検討した．対象は胆嚢良性疾患58例で，封筒法により3群にわけた．CTXの1回投与量は1 g（点滴静注）として，A群は麻酔導入時1回のみ投与（n＝18），B群は麻酔導入時1回と術直後1回に加え以後12時間ごとに3日間投与（n＝20）．C群は術後のみ術直後1回に加え以降12時間ごとに7日間投与とした（n＝20）．術野に関連した術後感染（手術野感染）は全体で10.3％に認めた．A群で5例27.8％，B群で1例5.0％，C群で0％とA群の感染率が高く，A・C群間に有意差を認めた（p＜0.05）．CTX 1 gのみの点滴静注では胆嚢摘除術後感染予防として不十分と考えられた．胆汁中細菌の有無と術後感染率に相関はなかったが，胆汁から検出された菌は手術野感染の起炎菌となりやすかった．CTXに感受性良好な菌は起炎菌になりにくく，術後感染予防投与の効果はあったものと考えた．

索引用語
antibiotic prophylaxis, cefotaxime, postoperative infection, cholecystectomy

別刷請求先
山口　久　〒470-11　豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98　藤田保健衛生大学船曵外科

受理年月日
1992年10月7日

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