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第26巻 第3号 1993年3月 [目次] [全文 ( PDF 601KB)]
原著

間脈圧亢進症における門脈血総胆汁酸ならびに酸素分圧・飽和度に関する検討

近森 文夫, 青柳 啓之, 渋谷 進, 高瀬 靖広, 深尾 立

筑波メディカルセンター病院消化器外科, 筑波大学消化器外科

 肝硬変症を原疾患とする食道胃静脈瘤症例24例を対象として,経皮経肝門脈造影(PTP)施行時に,門脈系静脈より採血し,総胆汁酸値や酸素分圧・飽和度を測定し,その臨床的意義について検討した.1.門脈(PV)の総胆汁酸値は,上大静脈(SVC)に比べて高い(p<0.01)が,その供給は主に上腸間膜静脈(SMV)より受ける.SVCの総胆汁酸値は脾静脈(SpV)と有意差を認めなかった.2.PVの酸素分圧はSVCと有意差を認めなかったが,PVの酸素飽和度はSVCに比べて若干高かった(p<0.05).SpVの酸素分圧・飽和度はPV,SMV,SVCに比べて高かった(p<0.01).3.食道静脈瘤の供血路としてSpVが大きく関与することが,PTPによって示された.4.硬化療法施行時に観察した食道静脈瘤血の色調は,全例とも鮮血色であった.以上から,食道静脈瘤にはSpVに近似した(PV,SMVに比べて総胆汁酸値は低いが,酸素分圧・飽和度の高い)静脈血が流れていると推論された.

索引用語
total bile acid concentration, oxygen partial pressure, oxygen saturation, portal hypertension, esophagogastric varices

日消外会誌 26: 836-841, 1993

別刷請求先
近森 文夫 〒305 つくば市天久保1-3-1 筑波メディカルセンター消化器外科

受理年月日
1992年10月7日

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