原著
消化管筋原性腫瘍におけるDNA ploidyの臨床的意義
杉平 宣仁
三重大学医学部第2外科学教室(主任:鈴木宏志教授)
消化管の筋原性腫瘍62例(平滑筋腫26例,平滑筋芽腫3例,平滑筋肉腫33例)を対象としてDNA flow cytometryを行い,DNA ploidyによって平滑筋腫と平滑筋肉腫の鑑別および平滑筋肉腫の予後判定が可能か否かを検討した.DNA aneuploidyは平滑筋腫では6/26例,平滑筋芽腫では1/3例,平滑筋肉腫では18/33例と,平滑筋肉腫で有意に多くみられたが,その診断的価値は少ないと考えられた.平滑筋肉腫の33例について術後健存率とDNA ploidyを含めた臨床病理学的事項との関連を見ると,有意に関連したのはDNA ploidyとtumor gradeのみであり,腫瘍最大径,mitotic index,部位,年齢,性は予後と有意な関連を示さなかった.すなわち,DNA ploidyは平滑筋肉腫の予後規定因子としてtumor gradeとともに重要な因子であり,その判定に主観のはいる余地が少ないことから,予後規定因子として客観的な,安定したものであることが知られた.
索引用語
smooth muscle tumors, gastrointestinal tract, leiomyosarcoma, DNA ploidy, disease free survival
別刷請求先
杉平 宣仁 〒514 津市江戸橋2-174 三重大学医学部第2外科
受理年月日
1992年10月7日
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