症例報告
肝右葉切除後に肝不全をきたした慢性活動性肝炎併存肝細胞癌の1例
福原 賢治, 大内 清昭, 松原 修二, 鈴木 正徳, 三国 潤一, 松野 正紀
東北大学第1外科
術前肝機能検査にて肝硬変非併存肝癌と診断され肝右葉切除を施行し術後肝不全に陥った症例について報告する.症例は59歳の男性でT.Bil 0.5 mg/dl,GOT 48,GPT 60 IU/l,PT 97.5%,ICG-R15 5.4%と良好な肝機能を呈したため肝右葉切除術を施行した.しかし術後早期より黄疸が出現し,15回の血漿交換療法にもかかわらず第63病日に肝不全にて死亡した.切除肝の非癌部は門脈域の細胞浸潤,門脈域間のbridgingおよびpiecemealnecrosisを伴う慢性活動性肝炎であった.術前の一般肝機能検査では診断しえず,肝炎の活動性の評価には数か所にわたる肝生検が必要であると思われた.
索引用語
hepatocellular carcinoma, chronic active hepatitis, postoperative liver failure
別刷請求先
福原 賢治 〒980 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学医学部第1外科
受理年月日
1992年10月7日
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