症例報告
管腔外に嚢状発育を示した十二指腸平滑筋芽細胞腫の1例
森山 重治, 花岡 俊仁, 川島 邦裕, 大橋 龍一郎, 木下 尚弘, 宇高 徹総
厚生連府中総合病院外科
平滑筋芽細胞腫はまれな腫瘍であり,胃以外の消化管原発は少ない.症例は60歳の女性.再生不良性貧血で加療中であった.1986年頃から右側腹部腫瘤に気づくも無症状のため放置し,1989年2月鼠径ヘルニアの手術のため入院時同腫瘤を訴えた.超音波・腹部CT検査にて腹腔内嚢腫の診断で,鼠径ヘルニアと同時に手術を施行した.術中所見で腹膜播種,肝・リンパ節転移を認めず.腫癒は十二指腸第2部前壁より管外性に発育しており,十二指腸筋層を含めて切除した.腫瘤は10.0×9.5×9.0 cm大,重さ550 gで,中に黄白色の残渣物と暗赤色の液体を入れた薄壁の嚢腫で,十二指腸内腔に交通はなかった,組織学的には嚢腫壁には出血・壊死が強く,腫瘍細胞は紡錘形平滑筋の成分を一部に含むものの,大部分が多角形上皮様形態の腫瘍細胞からなる平滑筋芽細胞腫で,異性を示唆する所見は認められなかった.術後3年5か月再発を認めない.
索引用語
leiomyoblastoma, duodenal leiomyoblastoma
別刷請求先
森山 重治 〒726 府中市鵜飼町555-3 府中総合病院外科
受理年月日
1992年11月11日
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