原著
Alpha-fetoprotein産生胃癌に対する臨床病理学的および増殖活性についての検討
稲田 高男, 井村 穣二*, 尾形 佳郎, 島村 香也子*, 安藤 二郎, 尾沢 巌, 松井 淳一, 菱沼 正一, 清水 秀昭, 固武 健二郎, 小山 靖夫
栃木県立がんセンター外科, 同 病理*
Alpha-fetoprotein(AFP)産生胃癌切除例10症例の臨床病理学的因子を検討するとともに,proliferating cell nuclear antigen(PCNA)の発現の程度から,その腫瘍細胞増殖能を検討した.AFP産生胃癌の頻度は同時期の進行胃癌切除例の6.1%で,肉眼型では2ないし3型の潰瘍形成型を示し,胃遠位側に存在するものが多かった.組織型別には乳頭状腺癌,中分化型管状腺癌,低分化型腺癌と種々のものがみられたが,多くが中間型および髄様増殖型であり,硬性型はなかった.また10例中7例が手術時肝転移を有し,残り3例中1例も肝転移再発死し,肝転移との強い相関がみられた.PCNAの発現の程度からみた細胞増殖能では,他の進行胃癌のものにくらべて,AFP産生胃癌の細胞増殖能は高いことが示唆された.
索引用語
alpha-fetoprotein-producing gastric cancer, proliferative activity, clinicopathological characteristics
別刷請求先
稲田 高男 〒320 宇都宮市陽南4-9-13 栃木県立がんセンター外科
受理年月日
1992年11月11日
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