原著
漿膜下浸潤胆裏嚢癌の組織学的浸潤増殖様式と再発形式からみた治療法の選択
佐々木 誠, 江藤 敏文, 冨岡 勉, 角田 司, 兼松 隆之
長崎大学医学部第2外科
ss胆嚢癌切除例は31例でssα,β22例,ss-γ9例,根治切除例はそれぞれ18例,6例であった.ssα,β22例とssγ9例の組織学的リンパ節転移,静脈浸潤,神経周囲浸潤の各頻度は前者32%,18%,23%で後者の78%,67%,67%に比較して有意に低率でおのおのの4年生存率68%,23%に有意差がみられた.ssα,β根治切除例18例のうち再発死亡は局所再発が3例で,現在生存の11例には主としてS5,4下肝亜区域切除+R2+16番リンパ節郭清術(以下,拡大胆摘術)が施行され肝外胆管切除,陣頭十二指腸切除が併施された.一方,ssγ6例にも同様の根治手術が行われたが全例再発死亡し5例が局所再発に加えて遠隔転移を伴っていた.したがってss癌と診断された症例には拡大胆摘術を行い,腫瘤の局在とリンパ節転移状況により肝外胆管切除,膵頭十二指陽切除を併施する.さらに術後ssγと診断された症例には,免疫化学療法を主体とした補助療法を付加するのがよいと考える.
索引用語
gallbladder carcinoma with subserosal invasion, mode of subserosal invasion, surgical treatment
別刷請求先
佐々木 誠 〒852 長崎市坂本町7-1 長崎大学医学部第2外科
受理年月日
1992年11月11日
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