症例報告
早期多発胃癌と直腸進行癌の同時性重複癌の1例
牧野 哲也, 林 外史英, 菊池 誠
金沢西病院外科
われわれは胃多発癌と直腸癌の重複癌症例に対し1期的根治術を施行しえた.症例は56歳の男性.便通異常を主訴に来院,直腸指診にて腫瘤を触知し,大腸内視鏡検査にて限局隆起型進行癌を認めた.生検にて中分化型腺癌との診断をえた.
術前検査中の胃内視鏡検査にて,早期多発胃癌を発見した.1期的根治術可能と考え,胃全摘術+第I群リンパ節の郭清および直腸癌に対して低位前方切除術+リンパ節郭清を施行した.
術後約1年の現在健在であり,特記すべき腹部症状もない.胃と大腸の重複癌はまれではないが,胃癌が早期多発癌であった点はまれである.
索引用語
multiple early gastric cancer, advanced rectal cancer, continuous double cancer
日消外会誌 26: 1062-1066, 1993
別刷請求先
牧野 哲也 〒920 金沢市北町甲77 金沢西病院外科
受理年月日
1992年11月11日
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