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第26巻 第4号 1993年4月 [目次] [全文 ( PDF 457KB)]
症例報告

選択的動脈内セクレチン注入法により局在診断しえた十二指腸ガストリノーマの根治的切除例

上田 幹子, 今村 正之, 嶋田 裕, 服部 泰章, 高橋 清之**, 柴田 信博***, 野口 貞夫***

京都大学第1外科(現・京都大学第2外科), 京都大学医療技術短期大学病理**, 西宮市立中央病院外科***

 悪性十二指腸粘膜下ガストリノーマの根治的切除をした1症例を報告した.37歳の男性.1981年より再発潰瘍に対し計3回の胃切除とさらにイレウスに対する開腹術を受けていた.1989年3月の血清ガストリン値(IRG)は602 pg/dlと高く,精査目的で当院に紹介された.セクレチンテスト陽性にてZollinger-Ellison症候群と診断されており,当院で選択的動脈内セクレチン注入法を用いて局在診断したところ,胃十二指腸動脈および上腸間膜動脈内へのセクレチン30単位急速注入40秒後に肝静脈血IRGはそれぞれ370 pg/mlと150 pg/ml上昇し,脾動脈では有意な上昇を認めなかった.したがって膵頭十二指腸領域にガストリノーマが局在すると診断した.開腹したところ膵頭部に腫瘍を認めず,十二指腸切開にて下行脚内に8×9 mmの粘膜下腫瘍を認めたので摘出した.膵頭十二指腸領域のリンパ節郭清後の術中迅速ガストリンアッセイ法を用いたセクレチン試験は陰性で,治癒切除と判定しえた.2年10か月後の現在,無再発生存中である.

索引用語
duodenal gastrinoma, selective arterial secrecin injection test, Zollinger-Ellison syndrome

日消外会誌 26: 1067-1071, 1993

別刷請求先
上田 幹子 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学部第2外科

受理年月日
1992年11月11日

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