症例報告
真性脾嚢胞の1例―嚢胞被覆細胞の免疫組織学的検討―
井原 朗, 橋詰 論太郎, 片山 憲恃, 小森山 広幸*, 横瀬 裕義*, 得平 卓彦*, 山口 晋*, 品川 俊人**
聖マリアンナ医科大学第1外科, 聖マリアンナ医科大学東横病院外科*, 同 病理**
症例は26歳の女性.左季肋部腫瘤にて来院.CT,血管造影および脾臓シンチグラムの併用によって術前に脾嚢胞と診断し,腫瘤と脾臓を一塊として摘出した.脾臓を含む総重量は1,800 g,大きさ20×18×12 cmであり,病理学的に嚢胞内面は1層の扁平な細胞からなり真性脾嚢胞と診断した.
今回,われわれは自験例に対して,免疫組織学的染色を行い真性脾嚢胞の起源について検討を加えた.中皮細胞のマーカーであるkeratin,vimentinおよびcancer antigen 125(CA125)の染色では陽性を示したが,上皮細胞のマーカーである上皮膜抗原(epithelial membrane antigen:EMA),血管内皮細胞のマーカーである第VIII因子関連抗原は陰性であった.
以上より,自験例の真性脾嚢胞が中皮由来であると考えられた.
索引用語
true splenic cyst, immunohistological staining
日消外会誌 26: 1090-1094, 1993
別刷請求先
井原 朗 〒213 川崎市宮前区管生2-16-1 聖マリアンナ医科大学第1外科
受理年月日
1992年11月11日
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