症例報告
精神病患者の消化器外科手術時の管理―13例の経験から―
木村 光宏, 柿崎 健二, 山内 英生
国立仙台病院外科
過去2年間に13例の精神病患者の消化器外科手術を経験した.精神分裂病6例,そううつ病4例,その他3例であり,平均14年の精神病治療歴を有した.術前より全経過を通じ,精神科医,麻酔科医との協力により,精神症状,向精神薬の副作用の発現の回避に努め,適宜,向精神薬を投与することで,精神症状の発現は抑えられた.しかし,各種の臓器障害,とくに肝機能障害を有する際には,向精神薬が相対的過剰投与となることがあり,これによると思われる呼吸抑制を1例で経験した.また向精神薬の副作用と思われる血圧低下や術後腸管麻痺の遷延なども認めた.精神病患者の手術に際しては,精神病そのものの管理とともに,長期的に投与されている向精神薬の副作用に十分に留意する必要があると思われた.
索引用語
abdominal surgery, psychotic patient, perioperative management of psychotics
日消外会誌 26: 1125-1129, 1993
別刷請求先
柿崎 健二 〒983 仙台市宮城野区宮城野2-8-8 国立仙台病院外科
受理年月日
1992年11月11日
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