特集
病巣所見に応じた胆嚢癌根治手術の適応と有用性
塚田 一博, 内田 克之, 白井 良夫, 吉田 奎介*, 武藤 輝一
新潟大学第1外科, 日本歯科大学新潟歯学部外科*
胆嚢に限局する進行胆嚢癌には肝床切除,胆管切除,リンパ節郭清を伴う胆嚢摘出術を基本術式(標準的手術)とし,腫瘍の進展によって肝切除や膵頭十二指腸切除を加える(拡大手術)という手術方針について,病巣所見と手術成績から評価した.1981年7月から1991年10月までの胆嚢癌切除例87例を対象とした.標準的手術が40例,準標準的手術が22例,拡大手術が25例であった.手術死亡は1例(1.1%)であった.手術死亡例,他病死例を含んだStage I(n=27)の累積5年生存率は89.1%,II(n=19)は66.3%,III(n=16)は31.2%であった.Stage IV(n=25)では,術後4年3月の症例が最長生存例であった.絶対非治癒切除を除いた切除例(n=71)の累積5年生存率は62.6%であった.進行胆嚢癌に対しては標準的手術を基本として,腫瘍の進展に応じ他臓器合併切除を加え切除断端を陰性に出来る手術術式を選択すべきである.
索引用語
carcinoma of the gallbladder, radical operation, standard procedure
日消外会誌 26: 1142-1146, 1993
別刷請求先
塚田 一博 〒951 新潟市旭町通1-757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1992年12月9日
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