特集
手術侵襲における分枝鎖アミノ酸投与の意義
山口 康雄, 久間 直哉, 久留須 裕司, 小川 道雄
態本大学第2外科
胃癌の診断で胃全摘術を行った症例を対象として,手術侵襲後に急性相反応蛋白の産生が急増する時期における分枝鎖アミノ酸(以下BCAA)投与の意義について検討した.手術侵襲の指標として尿中norepinephrine総排泄量およびinterleukin-6(IL-6)の血中濃度を測定した.これらはBCAA投与群,対照群の両群間で有意差はなく,侵襲の程度には差はなかった.総蛋白,アルブミンおよび種々の急性相蛋白の血中濃度は両群間で有意差はなかった.また,必須アミノ酸であるleucine,isoleucine,valineの血中濃度は両群間で有意差は認められなかった.しかし侵襲に対する筋蛋白融解の程度,つまり体重当たりの尿中総3-methylhistidine排泄量は,対照群に比べBCAA群では有意に低下した.以上より,術後早期に耐糖能の変化に応じた非蛋白カロリー量にBCAAの豊富なアミノ酸製剤の併用投与により,侵襲による筋蛋白融解が抑制される傾向が示された.
索引用語
branched chain amino acid, surgical stress, cytokine
日消外会誌 26: 1163-1168, 1993
別刷請求先
山口 康雄 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第2外科
受理年月日
1992年12月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|