特集
外科侵襲時のアラニルーグルタミン投与の有用性
齋藤 英昭, 橋口 陽二郎, 仲 秀司, 黒岩 厚二郎, 稲葉 毅, 武藤 徹一郎
東京大学第1外科
グルタミン(Gln)の安定なdipeptideであるアラニルーグルタミン(Ala-Gln)の効果を,Interleukin-1(IL-1)投与犬での短期間投与と持続腹膜炎ラットでの長期間投与で検討した.IL-1(5 µg/kg/時)投与犬モデルでのAla-Gln投与(6 µmol/kg/分)は肝臓,腸管,肺のAlaやGlnの摂取量を有意に増加させ,また末梢骨格筋での解糖を抑制した.さらにE.coli 108cfu/日腹腔内注入によるラット腹膜炎モデルではAla-Gin添加製剤は,Glnを含有しない標準アミノ酸製剤や高BCAA製剤に比べて腸の構造を維持し,さらに腸管,肝とともに全身の蛋白代謝をも有意に亢進させた.これらの成績から,Ala-Glnの投与は外科侵襲時の各臓器や全身のアミノ酸・蛋白代謝のみならず糖代謝も改善し,腸などの臓器機能を維持し,さらに臓器相互間の代謝を円滑化する.Ala-Gln投与は侵襲時の栄養管理に有用である.
索引用語
alanyl-glutamine, surgical nutrition, amino acid solution
日消外会誌 26: 1175-1180, 1993
別刷請求先
齋藤 英昭 〒113 文京区本郷7-3-1 東京大学医学部第1外科
受理年月日
1992年12月9日
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