特集
消化器外科領域の多臓器不全に対する栄養管理の検討
平澤 博之, 菅井 桂雄, 大竹 喜雄, 織田 成人, 志賀 英敏, 中西 加寿也, 北村 伸哉, 上野 博一
千葉大学医学部救急部・集中治療部
消化器外科領域の多臓器不全(multiple organ failure;MOF)70例を対象に,いかにして代謝動態を把握し,いかなる栄養管理を施行すればよいかを検討した.代謝動態の把握には,indirect calorimetryによるエネルギー消費量,respiratory quotient,%FAT,動脈血中ケトン体比(arterial ketone body ratio;AKBR)およびケトン体量,血中乳酸値などが有効であった.MOF患者はhypermetabolicで,基礎エネルギー消費量の140~150%を消費しており,AKBRの低下している肝不全合併MOF症例では,エネルギー基質の利用制限や蛋白代謝の低下が観察された.全症例に対して中心静脈栄養法を施行した.消費エネルギー量相当のエネルギー量の投与は肝不全合併MOFおよび腎不全合併MOFで困難であったが,前者ではATP-Mgやplasma exchangeの併用が,後者では持続的血液濾過や持続的血液濾過透析の併用が有効であった.また分枝鎖アミノ酸を多量に含む製剤は有用であった.
索引用語
multiple organ failure, indirect calorimetry, arterial ketone body ratio
日消外会誌 26: 1181-1186, 1993
別刷請求先
平澤 博之 〒260 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学医学部救急部・集中治療部
受理年月日
1992年12月9日
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