原著
左側結腸癌に対する大動脈周囲リンパ節郭清術式の検討
長尾 二郎, 炭山 嘉伸
東邦大学医学部外科学第3講座
最近教室では根治可能な左側結腸癌症例に対する拡大郭清術式として,下腸間膜動脈根部上方の大動脈周囲リンパ節郭清術式を施行している.この術式の概要と,下腸間膜動脈根部を郭清の上縁とした従来の手術術式との比較検討を行った.本手術術式は従来の手術術式に加え,左の腎静脈下縁までの大動脈前面を郭清し,下腸間膜静脈も膵下縁で処理する術式で,現在までに29例に施行した.下腸間膜動脈根部(No-253)の上方の大動脈周囲リンパ節(No-216)の転移率は2/29(6.8%),転移度は4/348(1.15%)で,No-253と同様のgradingのもとに郭清する意義を認めた.手術時間では平均で36分の延長がみられたが,下部直腸癌に対する側方郭清にみられるような郭清範囲の拡大に伴う術後機能障害などはなく,安全でquality of lifeを損なうことのない手術術式と思われた.
索引用語
left colon cancer, vertical lymphnode metastasis, para-aortic lymphadenectomy
日消外会誌 26: 1246-1250, 1993
別刷請求先
長尾 二郎 〒153 東京都目黒区大橋2-17-6 東邦大学付属大橋病院第3外科
受理年月日
1993年1月13日
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