大腸癌におけるepidermal growth factor receptor発現についての免疫組織学的検討

島田　悦司, 裏川　公章, 植松　清

神戸労災病院外科

　切除大腸癌62例の新鮮凍結標本を用いて，epidermal growth factor receptor（EGFRと略）の発現の有無を免疫組織化学的に検索し，臨床病理学的諸因子との関連性を検討した．EGFR陽性率は29/62（46.7％）であった．腫瘍の占居部位による差はなかったが，腫瘍径では右側結腸で陽性例が有意に大きかった．肉眼型，組織型では陽性率に差がなかったが，壁深達度では陽性例でsi（ai）症例が有意に多く，また脈管侵襲は陽性例でv2，ly2以上が有意に多かった．しかしリンパ節転移では差がみられなかった．腹膜転移，肝転移および肺転移も陽性例に多く，したがってDukes D症例で陽性例が有意に多くみられた．以上より大腸癌におけるEGFRの発現は癌の進展，とくに血行性転移や局所浸潤などと関連している可能性が示唆された．

索引用語
epidermal growth factor receptor, colorectal cancer, immunohistochemistry

別刷請求先
島田　悦司　〒651　神戸市中央区籠池通4-1-23　神戸労災病院外科

受理年月日
1992年12月9日

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