症例報告
臓器軸性胃軸捻転症を伴った成人Bochdalek孔ヘルニアの1例
吉田 隆典, 斎藤 貴生, 奥園 真一, 小林 迪夫, 長 順一郎*
大分医科大学第1外科, 長外科病院*
成人になって発見された胃軸捻転症を伴うBochdalek孔ヘルニアの1例を経験したので報告する.
症例は27歳の男子で,左側腹部痛,嘔吐で発症した.胸部X線,消化管造影,胸腹部CT,血管造影により横隔膜ヘルニアと診断したが, とくに選択的下横隔動脈造影と選択的上腸間膜動脈造影の総合所見が診断確定に有用であった.開腹時所見では左横隔膜外側後方に横隔膜欠損を認め,これより小腸の大部分と脾彎曲部結腸が左胸腔内に脱出していた.同時に脾は腹側右方に偏位し,胃の臓器軸性軸捻転症を認めたため,胃軸捻転症を伴ったBochdalek孔ヘルニアと診断した.小腸および結腸を腹腔内に整復し,横隔膜欠損部を2層縫合により閉鎖した結果,胃軸捻転症は消失した.術後経過は順調であった.
以上,臓器軸性胃軸捻転症を伴った成人Bochdalek孔ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加え報告した.
索引用語
Bochdalek hernia in an adult, secondary organoaxial volvulus of the stomach
日消外会誌 26: 1256-1260, 1993
別刷請求先
吉田 隆典 〒879-55 大分県大分郡挟間町医大ケ丘1-1 大分医科大学第1外科
受理年月日
1992年12月9日
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