症例報告
胃癌穿孔8症例の臨床病理学的検討
金丸 太一, 斎藤 洋一, 太田 恭介, 橋本 可成*, 松井 祥治*, 福田 裕*, 藤本 彊*
神戸大学第1外科, 加古川市民病院外科*
1976年から1990年までに加古川市民病院外科で経験した胃癌穿孔8症例を臨床病理学的に検討し,以下の結果を得た.(1)頻度は全胃癌手術症例(847例)中0.9%であった.(2)男女比は6:2,平均年齢は66.5歳,良性潰瘍に比べて高齢であった.(3)正診率は12.5%で,術前診断の困難性がうかがわれた.(4)穿孔部位は噴門部4例,胃体部2例,幽門部2例であり,いずれも癌性潰瘍よりの穿孔であった.(5)切除率は6例(75.0%),治癒切除率は1例(12.5%)であった.(6)肉眼分類ではBorrmann 2,Borrmann 3,IIc+III進行型がおのおの2例,組織分類では低分化型腺癌3例,中分化型腺癌2例,粘液腺癌1例であった.(7)深達度はssが4例,se,seiが1例で,穿孔部位に線維性増殖は認めなかった,(8)予後は不良で非切除症例2例は術死し,耐術例6例のうち4例が癌性腹膜炎にて死亡した.(9)術中に胃穿孔と診断された25例中,本疾患は32.0%をしめており,診断は慎重に行い,治療は治癒切除を原則とするべきと考えられた.
索引用語
clinicopathological study of the perforated gastric cancer
日消外会誌 26: 1261-1265, 1993
別刷請求先
金丸 太一 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1993年1月13日
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