胆嚢扁平上皮癌の2例

阿部　幹, 斎藤　拓朗, 竹重　俊幸, 今野　修, 寺西　寧, 寺島　信也, 森山　厚, 遠藤　幸男, 井上　仁, 元木　良一

福島県立医科大学第1外科

　胆嚢扁平上皮癌2例を報告した．症例1は73歳の男性．主訴は右季肋部痛および発熱．画像診断にて胆嚢癌と診断され，肝床切除および2群までのリンパ節郭清を伴う胆嚢摘出術（以下，拡大胆摘術）を施行した．病理組織所見では高度な角化傾向を有する高分化型扁平上皮癌であった．術後再発の徴候もなく経過したが，58か月後に肺炎にて死亡した．症例2は70歳の女性．主訴は心窩部痛および発熱．画像診断にて胆嚢癌と診断され，拡大胆摘術を施行した．病理組織所見では弱い角化傾向を示す中等度分化型扁平上皮癌であった．術後1年の現在も再発の徴候なく当科外来に通院中である．胆嚢扁平上皮癌に対して拡大胆摘術を施行し良好な術後成績が得られたことより，術中生検を施行し胆嚢扁平上皮癌と診断された時は積極的な拡大根治手術を考慮すべきであると思われた．

索引用語
squamous cell carcinoma of the gallbladder

別刷請求先
阿部　幹　〒960-12　福島市光が丘1　福島県立医科大学第1外科

受理年月日
1993年1月13日

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