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第26巻 第5号 1993年5月 [目次] [全文 ( PDF 472KB)]
症例報告

腹腔動脈閉塞を併発したVater乳頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行した1例

近森 文夫, 軍司 直人, 青柳 啓之, 渋谷 進, 高瀬 靖広, 深尾 立

筑波メディカルセンター病院消化器外科, 筑波大学消化器外科

 腹腔動脈閉塞症例において,膵頭十二指腸切除術が必要となる場合には,残膵,残胃,脾臓,肝臓の血流を維持するために血行再建が必要となる.今回,腹腔動脈閉塞を併発した乳頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行した1例を経験したので報告する.症例は56歳の女性で,黄疸を主訴として来院した.胆道造影ならびに内視鏡検査にて乳頭部癌と診断した.腹部血管造影では腹腔動脈は完全閉塞し,右肝動脈は上腸間膜動脈より分岐していた.右肝動脈より,膵十二指腸動脈を介して左・中肝動脈,膵動脈,胃動脈が造影されており,膵十二指腸動脈瘤も認めた.膵頭十二指腸切除術に際しては,膵頭部を切除した後,胃十二指腸動脈と後下膵十二指腸動脈を端端吻合した.術後経過は順調で,血管造影にて血管吻合部の開存を確認した.われわれの施行した胃十二指腸動脈と後下膵十二指腸動脈の端端吻合は,簡単で有効な血行再建手技と思われた.

索引用語
pancreaticoduodenectomy, celiac occlusion, pancreaticoduodenal artery aneurysm

日消外会誌 26: 1286-1290, 1993

別刷請求先
近森 文夫 〒305 つくば市天久保1-3-1 筑波メディカルセンター消化器外科

受理年月日
1993年1月13日

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