症例報告
Hepatomesenteric typeの上腸間膜動脈血栓症の1救命例
足立 信也, 河島 孝彦, 森島 勇, 尾崎 梓
きぬ医師会病院外科
患者は67歳の男性で,20年来の不安定狭心症の後,下壁の心筋梗塞を発症し治療中であった.4日間続く下痢の後,急激な腹痛で搬送され,下血もみられた.緊急開腹所見では上腸間膜動脈が根部から閉塞しており,小腸は1m50cmにわたって壊死を呈していた.上腸間膜動脈の根部から右結腸動脈分岐の末梢側までの血栓摘除と壊死腸管切除術を行った.術後早期に腹腔動脈の閉塞が疑われたため血管造影検査を行ったところ,総肝動脈が上腸間膜動脈から分岐するいわゆるhepatomesenteric typeであった.両側内腸骨動脈が閉塞し,両側総腸骨動脈,脾動脈,左腎動脈,空腸動脈の一部に狭窄がみられた.上腸間膜動脈よりウロキナーゼを注入し,2か月後の血管造影では良好な血流が保たれていた.上腸間膜動脈と総肝動脈の急性閉基での救命例はきわめてまれであるため報告した.
索引用語
occlusion of superior mesenteric artery, anatomical variation of superior mesenteric artery, occlusion of common hepatic artery
日消外会誌 26: 1296-1299, 1933
別刷請求先
足立 信也 〒303 水海道市新井木町13-3 きぬ医師会病院外科
受理年月日
1993年1月13日
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