症例報告
Spigelヘルニアの1例
高橋 英雄, 川上 卓久, 安田 保, 宇野 雄祐, 岩瀬 孝明
北陸中央病院外科
Spigelヘルニアはきわめてまれな腹壁ヘルニアである.
われわれは65歳の女性で,術前に診断しえたSpigelヘルニアの1例を経験した.7年前より右下腹部に腫瘤が出現し,最近,頻回に脱出,疼痛を認めるようになったため,当院に入院となった.腹部所見では右下腹部に8×10 cm大の軟らかい手拳大の腫瘤が観察された.ヘルニア門の位置がSpigel腱膜に位置していたことよりSpigelヘルニアと診断し,手術を行った.開腹所見では菲薄化した外腹斜筋腱膜下にヘルニア嚢を認め,ヘルニア内容は大網であった.ヘルニア門の大きさは3×4 cmであった.
ヘルニアが小さい時は診断が困難で,また本疾患の概念が知られていないこともあり,本邦におけるSpigelヘルニアの報告は少なく,自験例は8例目である.
索引用語
Spigelian hernia
日消外会誌 26: 1314-1317, 1993
別刷請求先
高橋 英雄 〒932 富山県小矢部市埴生2124-1 北陸中央病院外科
受理年月日
1993年1月13日
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