食道癌術後の免疫能変化に対するLentinan投与の効果について

林　悟, 松森　正之, 岡田　昌義

神戸大学医学部第2外科

　食道癌手術患者では，生体防御能は術前よりの担癌，低栄養に加え，外科的侵襲によって障害され術後の易感染性の原因となり，また癌再発に対して不利に働くと考えられる．食道癌症例33例に対して術前後の免疫能の推移について検討した．うち18例にはレンチナンを術前より投与し，その術後免疫能に対する効果についても検討した．術後，レンチナン非投与群ではリンパ球数，IgG，IgA，CH₅₀，Leu．3 a/Leu．2 a，ADCC，NK細胞活性などが低下した．細胞性免疫能の指標である，Leu．3 a/Leu．2 a，ADCC，NK細胞活性は，手術侵襲による障害が顕著で遷延する傾向を示した．レンチナン投与群では，リンパ球数，Leu 3 a/Leu．2 a，ADCC，NK細胞活性の低下および白血球増多症発生頻度が抑制され，術後の免疫能低下を予防する効果が認められた．

索引用語
esophageal cancer, immunological change, cellular immunity, biological response modifier, Lentinan

別刷請求先
林　悟　〒650　神戸市中央区楠町7-5-2　神戸大学医学部第2外科

受理年月日
1993年2月10日

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