原著
胃切除術後の骨代謝障害―microdensitometry法とdual energy X-ray absorptiometry法の比較―
寺田 信國, 佐野 晴夫, 石橋 治昭, 谷 徹, 柴田 純祐, 小玉 正智, 游 逸明*, 山本 逸雄*, 森田 陸司*
滋賀医科大学外科学第1講座, 同 放射線医学*
胃癌患者の胃切除術後の骨障害について,microdensitometry(MD)法81例およびdual energy absorptiometry(DEXA)法52例で比較した.これらの2つの測定法をもちいて,加齢,性別,手術後年数,手術術式などについての解析を行ったところ,2つの測定法は,同様の傾向がみられた.ところが,個々の症例を2つの測定法で比較すると,一致しない値を示すものがあった.そこで,特別な機械を必要としない手軽なMD法と,腰椎など骨折多発部位を直接的に測定できるDEXA法について,さらに詳細に解析した.そこでわかったことは,MD法とDEXA法の総合評価はあまり相関せず,またMD法の骨密度値(Σ GS値)は,腰椎DEXAのbone mineral density(BMD)値とはあまり相関せず,むしろ踵骨single energy absorptiometry(SXA)のBMD値とよく相関した.胃切後でMD法で初期以上の骨障害を認めた症例に対して,1α-OH-D3を投与し19例中12例にMD法での総合評点の改善がみられた.
索引用語
bone disorder after gastrectomy, gastric cancer patient, microdensitometry, dual energy X-ray absorptiometry, single energy X-ray absorptiometry
日消外会誌 26: 1929-1935, 1993
別刷請求先
寺田 信國 〒520-21 滋賀県大津市瀬田月輪町 滋賀医科大学外科学第1講座
受理年月日
1993年3月3日
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