原著
ヒト胃癌に対するCis-diamminedichloroplatinumとカフェインとの併用効果と染色体におよぼす影響
山本 裕司, 天野 富薫, 今田 敏夫, 青山 法夫, 竹鼻 敏孝, 利野 靖, 高橋 誠, 松本 昭彦
横浜市立大学第1外科
ヒト胃癌細胞株STKM-1を用いてCis-diamminedichloroplatinum(以下CDDP)とカフェインとの併用抗腫瘍効果と染色体におよぼす影響について検討した.
CDDP(2µg/ml)3時間接触で57%の増殖率であったが,CDDP接触後カフェイン1 mM持続接触にて23%に,2 mMにて9.3%に低下し,抗腫瘍効果の増強が認められた.
CDDP(2µg/ml)処理後の染色体におけるgap/breakの出現頻度は1.816±1.509/Cell,exchangeの出現頻度は0.184±0.565/Cellであった.CDDP処理直後からカフェイン1 mMを24時間接触させるとgap/breakの出現頻度は4.206±3.162/Cell,exchangeは0.760±0.938/Cellと増加した.CDDP処理後24,48時間後にカフェインを接触させても同様の結果が得られた.
以上より,カフェインはDNA修復阻害作用を有し,胃癌に対する化学療法において,CDDPとの併用で抗腫瘍効果の増強が期待された.
索引用語
human gastric cell line, STKM-1, caffeine, concomitant effects of CDDP and caffeine, chromosomal abberation
日消外会誌 26: 1957-1962, 1993
別刷請求先
山本 裕司 〒232 横浜市南区浦舟町3-46 横浜市立大学医学部付属浦舟病院第1外科学教室
受理年月日
1993年2月10日
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