原著
胃癌における転移リンパ節の量的検討
浦 英樹, 伝野 隆一, 平田 公一
札幌医科大学第1外科
過去17年間に教室で治癒切除を施行した原発胃癌733例を対象に転移リンパ節個数,リンパ節転移度(転移リンパ節個数/摘出リンパ節個数)の術後遠隔成績に及ぼす影響について臨床病理学的に検討した.その結果,これらのリンパ節因子が予後規定因子としての機能を発揮するのはn2例においてであり,n1,n3例では転移リンパ節の量的多寡による予後の差は明らかでなかった.転移個数については単純な総和値よりもn-numberを組み合わせた考え方が有用で,n2例における第2群リンパ節転移個数別の5生率は,1~2個:37.5%,3~5個:22.8%,6個以上:9.1%であった.リンパ節転移度(F)別のn2例の5生率は,F<10%:62.9%,10%≦F<20%:46.1%,20%≦F<50%:29.7%,50%≦F:7.1%であり,転移量の多いものほど予後不良であった.また予後因子別の単変量解析を行った結果,これらのリンパ節因子はn2例において深達度と同等以上の予後規定度を有することが判明した.
索引用語
gastric cancer, lymph node metastasis of gastric canser, prognostic limiting factor
日消外会誌 26: 1969-1976, 1993
別刷請求先
浦 英樹 〒060 札幌市中央区南1条西16丁目 札幌医科大学第1外科
受理年月日
1993年2月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|