原著
間質結合織の多寡からみた胃低分化型腺癌の臨床病理学的特徴と術後遠隔成績に関する検討
河村 史朗, 加藤 道男*, 森下 透, 大野 伯和, 船坂 真里, 中村 毅, 斉藤 洋一
神戸大学第1外科, 近畿大学第2外科*
胃の低分化型腺癌511例を間質結合織の多寡により髄様型(91例),中間型(148例),および硬性型(272例)に分類し,このうち髄様型と硬性型について臨床病理学的特徴および予後を比較検討した.さらに髄様型ではリンパ球浸潤による術後遠隔成績に関しても検討を加えた.その結果,髄様型は高齢者,男性,胃癌取扱い規約によるA領域,肉限型の1,2型,ps(-),n4,stage Iが多くみられた.一方,硬性型では若年者,女性,全領域に広がるもの,肉眼型の3,4型,ps(+),stage IIIが多くみられた.肉眼型腹膜播種および肝転移の頻度は両型間に差はなかった.両型の術後遠隔成績はstage別,ps別に有意差を認めず,間質量の多寡は予後に影響を及ぼさなかった.しかしながら,髄様型においてリンパ球浸潤を伴う症例はps(-)症例に限ると伴わない症例より予後が良好の傾向を示した.
索引用語
medullary type of gastric carcinoma, scirrhous type of gastric carcinoma, lymphocytic infiltration
日消外会誌 26: 1983-1989, 1993
別刷請求先
河村 史朗 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1993年3月3日
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