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第26巻 第7号 1993年7月 [目次] [全文 ( PDF 728KB)]
原著

肝細胞癌切除における肝切離面の癌浸潤と断端再発に関する検討

宮崎 正二郎, 高崎 健, 林 俊之, 山本 雅一, 次田 正, 桂 浩二, 鈴木 隆文, 大坪 毅人, 中上 哲雄, 小林 誠一郎, 羽生 富士夫

東京女子医科大学消化器病センター外科

 肝細胞癌肝切除106例を対象として,肝切離面の癌浸潤の有無(tumor wedge;TW)と断端再発の関連を検討した.TW(+)例は対象症例中71例(67.0%)に及んだ.残肝再発は,TW(+)例中37例(52.1%),TW(-)例中16例(45.7%)に認めたが,両群間に有意差はみられなかった.断端再発例は残肝再発例53例中4例(7.5%)で,すべてTW(+)例であった.断端再発例を除くTW(+)例の残肝再発33例(46.5%)は,TW(-)例の残肝再発率とほぼ等しく,また,断端再発例の検討から,TW確保は予後向上につながるものと考えられた.しかし,無再発生存率に関しては,TW(+)例とTW(-)例の両群間に有意差がみられなかった.これは,残肝再発例における断端再発例の割合が低いため,TWの再発への関与が,門脈・静脈腫瘍栓,被膜外浸潤,肝内転移,腫瘍径などの諸因子に比べると少ないことによるものと考えられた.また,断端再発例はすべてTW 5 mm未満であることから,TW 5 mm以上がTW確保の1つの目安と示唆された.

索引用語
recurrence at surgical margin, tumor wedge, hepatic resection, hepatocellular carcinoma

日消外会誌 26: 1996-2002, 1993

別刷請求先
宮崎正二郎 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器病センター外科

受理年月日
1993年1月13日

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