原著
胆道疾患における十二指腸傍乳頭憩室の臨床的意義
宮崎 知, 坂本 嗣郎, 桑田 圭司, 山崎 芳郎, 山崎 元, 森本 芳和, 貴島 弘樹, 種村 匡弘, 宮田 正彦*
大阪厚生年金病院外科, 大阪大学第1外科*
過去5年間に上部消化器造影を施行した12,321例を対象とし,十二指腸憩室の発見頻度,部位ならびに個数を検討した.また同5年間の良性胆道疾患手術症例467例につき傍乳頭憩室の合併頻度,憩室径,胆管径ならびに結石の種類を検討した.十二指腸憩室の発生頻度は男性4.9%,女性9.1%であり,加齢とともに増加した.憩室の92.2%は十二指腸第II部に存在し,単発例が95.6%であった.胆道疾患別の憩室合併頻度は胆嚢ポリープ15.7%,胆嚢結石15.8%,胆管結石45.2%,再発結石87.5%であり,胆管結石症例は胆嚢結石症例に比べ有意に高かった.憩室径では胆管結石ならびにレンメル症候群は胆嚢ポリープ症例に比べ有意に大であった.憩室径20 mm以上の症例は,10 mm未満に比べ総胆管径が有意に大であった.胆管結石症例では憩室合併群は非合併群に比べ色素系結石の頻度が有意に大であった.以上の成績より傍乳頭憩室(とくに憩室径が20 mm以上)は胆汁流出障害,胆管結石の生成に関与することが推察された.
索引用語
perivaterian diverticula, cholelithiasis, Lemmel syndrome
日消外会誌 26: 2003-2008, 1993
別刷請求先
宮崎 知 〒543 大阪市天王寺区北山町10-31 大阪警察病院外科
受理年月日
1993年1月13日
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