症例報告
成人の特発性胃破裂の1例
村田 修一, 丸岡 秀範, 清崎 克美, 若狭 林一郎, 池谷 朋彦, 広瀬 淳雄, 牛島 聡
氷見市民病院外科
出血性胃潰瘍の治療中,大量の血液貯留による胃の過膨張が原因と考えられる特発性胃破裂の1例を経験したので報告する.
症例は72歳の女性.1988年7月10日,吐血にて入院.胃内視鏡検査で胃内に大量の血液貯留を認めたが,出血源は不明であった.入院約48時間後に再び大量の吐血を来し,ショック状態となったので手術を施行した.胃体部小彎側で縦軸方向に約15 cm胃が裂け,体上部後壁に認めた潰瘍は脾,膵尾部と強固に癒着していたため,胃全摘,脾,膵尾部切除を行った.病理組織学的に胃体部後壁に4.5×2 cmのUl-IVの潰瘍があり,潰瘍底に動脈の破綻を認めた.胃内と上腹部に約3,200 mlの血液が貯留していた.血液貯留により拡張した胃に,吐血による急激な胃内圧の上昇が起こり,胃小彎が破裂したものと考えられた.
われわれが調べえた本邦における成人の特発性胃破裂は本例が第3例目であった.
索引用語
spontaneous rupture of the stomach
日消外会誌 26: 2031-2034, 1993
別刷請求先
村田 修一 〒935 氷見市幸町31-9 氷見市民病院外科
受理年月日
1993年2月10日
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