症例報告
末端肥大症に併発したalpha-fetoprotein産生胃癌の1例
田中 松平1)2), 金子 芳夫1), 家接 健一1), 吉田 千尋1)
有松中央病院外科1), 金沢大学第1病理2)
末端肥大症に併発したα-fetoprotein(AFP)産生胃癌の1例を経験したので報告する.症例は27歳の男性で,吐血をきたして当科を受診した.24歳時に末端肥大症と診断されており,脳下垂体摘出術の既往があった.内視鏡検査にて噴門直下のBorrmann 2型胃癌からの出血を認めた.生検で低分化腺癌であった.腹部CT検査,超音波検査および血液生化学検査では肝硬変や肝炎を示唆する所見はなかったが,血清AFP値が53.1 ng/ml(正常値<20 ng/ml)と高値であった.遠隔転移を認めず,噴門側胃切除術を施行した.噴門部前壁に3×2.5 cm大のBorrmann 2型胃癌を認めた.深達度はpmで,INFα,ly0,v0であった.光顕免疫組織化学的に腫瘍組織内にAFPは証明されなかったが,血清AFPは術後21日目に3.8 ng/mlと正常化した.
以上より,本例は末端肥大症に併発したAFP産生胃癌と診断された.
索引用語
α-fetoprotein producing gastric carcinoma, acromegaly
日消外会誌 26: 2040-2044, 1993
別刷請求先
田中 松平 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1993年2月10日
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