小児特発性胆道穿孔にて発症した先天性肝外肝管拡張症の1例

山森　積雄, 山田　育子, 加藤　禎洋, 北村　文近, 近石　登喜雄, 古市　信明, 三沢　恵一, 大橋　広文, 須原　邦和

県立岐阜病院外科

　症例は3歳の男児で，腹痛，嘔吐で発症した．黄疸，腹部膨満を認めたため開腹した．胆汁性腹膜炎を認め，肝外に露出していた右肝管後区域枝に径2 mmの穿孔を認めた．胆嚢摘出後穿孔部肝管にT-tubeを設置した．術後のT-tube造影では前区域枝，後区域枝，左肝管が嚢状拡張を呈していた．9年後のendoscopic retrograde cholangio-pancreatography（ERCP）検査では左肝管が円柱状の拡張を呈し，左内，外側枝は嚢状拡張を呈していた．しかし，3歳時にみられた前区域枝，後区域枝の拡張程度は減少していた．成長後の拡張形態は原発性肝内結石症にみられる肝内胆管拡張にも類似していたが，ERCP検査時には胆石は認めなかった．この胆管拡張の形態は非常にまれな先天性肝外肝管拡張であったので報告した．

索引用語
dilatation of extrahepatic bile duct, idiopathic perforation of the biliary tract

別刷請求先
山森　積雄　〒500　岐阜市野一色1-4-6　県立岐阜病院外科

受理年月日
1993年3月3日

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