症例報告
肝門部に浸潤した肝内粘表皮癌の1治験例
村山 道典, 初瀬 一夫, 寺畑 信太郎*, 青木 秀樹, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科, 病院検査部病理*
症例は33歳の男性で,主訴は黄疸,上腹部痛であった.腹部超音波検査で肝門部腫瘤性病変とともに閉塞性黄疸が確認されたので経皮経肝胆道ドレナージを施行した.腹部血管造影,percutaneous transhepatic cholangiography,computed tomography,magnetic resonance imagingの結果,肝門部胆管癌と診断され,肝左3区域門脈合併切除術を施行した.また吻合部を中心に45 Gyの放射線照射を行った.腫瘍は肝内から肝門部に浸潤した3.0×2.3×4.5 cmの灰白色の塊状型で,中心に小嚢胞を伴っていた.組織学的に小嚢胞部分を中心とした粘表皮癌で周囲の浸潤部に腺癌の像を伴っていた.肝内胆管由来の粘表皮癌の報告はきわめてまれであり,切除後長期生存の報告はない.術後20か月間経過した現在,再発徴候なく生存している肝門部浸潤肝内粘表皮癌の症例を経験したので報告した.
索引用語
mucoepidermoid carcinoma, intrahepatic cholangiocarcinoma
日消外会誌 26: 2084-2088, 1993
別刷請求先
村山 道典 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1993年1月13日
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