胆管結石症における胆管切開切石後の1次縫合術（T-tube造設法との比較）

草野　敏臣, 奥島　憲彦, 山里　将仁, 山口　宝, 玉城　哲, 野原　正史, 本馬　周淳, 徳嶺　章夫, 武藤　良弘, 古川　正人^＊

琉球大学第1外科, 国立長崎中央病院外科^＊

　胆管結石症に対し，胆管切開後，逆行性経肝チューブを留置し，胆管は1次的に縫合閉鎖した（RTBD-t法）術式の臨床成績をTチューブ造設法（T-t法）と比較した．
　1986年4月から1992年7月までに施行したRTBD-t法132例とこれまでのT-t法199例を対象に合併症を中心に比較検討し，RTBD-t法における1次縫合部の胆管径の変化率，肝機能に及ぼす影響を検討した．
　RTBD-t法の重篤な合併症は瘻孔形成不全による胆汁性腹膜炎の開腹例1例（0.8％）で，従来のT-tube造設法8例（4.0％）の再開腹率より低率であった．1次縫合後の胆管像より，胆管径比が4分の3以上が87％，4分の3以下2分の1までが13％で，胆道減圧も良好で肝機能にも好影響を呈した．
　胆管結石症における胆管切開後のRTBD-t留置および1次縫合閉鎖術は，臨床的に安全で推奨すべき術式である．

索引用語
primary closure of the duct, retrograde transhepatic biliary drainage, T-tube drainage, choledocholithiasis

別刷請求先
草野　敏臣　〒903-01　沖縄県中頭郡西原町上原207　琉球大学第1外科

受理年月日
1993年4月14日

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