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第26巻 第8号 1993年8月 [目次] [全文 ( PDF 492KB)]
症例報告

十二指腸静脈瘤出血の2手術例

小倉 芳人, 渡辺 照彦, 田辺 元, 島津 久明, 田畑 峯雄1), 溝内 十郎1), 迫田 晃郎1), 矢野 武志2), 大追 政彦3), 田中 貞夫3)

鹿児島大学第1外科, 鹿児島市医師会病院外科1), 同 放射線科2), 同 病理3)

 十二指腸静脈瘤出血の2例を報告した.
 症例1は50歳の男性で,主訴は下血.肝外門脈閉塞症手術の既往歴をもっていた.上部消化管X線造影・内視鏡検査によって十二指腸球部前壁に屈曲蛇行する隆起が認められ,血管造影にて同部位に蛇行・拡張した血管が認められ,血行郭清術を行った.
 症例2は69歳の女性で,主訴は下血.肝硬変を有していた.内視鏡検査によって十二指腸下行脚に蛇行する隆起と同部位からの出血が認められた.内視鏡的硬化療法を行ったが,再出血を起こしたため開腹下に血管結紮術を行った.
 2例とも術後経過は順調で再出血も認められていない.十二指腸静脈瘤は門脈圧亢進症の1病態としてまれにみられる.消化管出血を認めた場合には十二指腸まで十分に検索し,十二指腸静脈瘤が出血源であることが判明したらなるべく早期に血管結紮術または血行郭清術を行うのが望ましいと考えられた.

索引用語
duodenal varices, portal hypertension, gastrointestinal bleeding

日消外会誌 26: 2194-2198, 1993

別刷請求先
小倉 芳人 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学第1外科

受理年月日
1993年4月14日

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