症例報告
労作時右季肋部痛を主訴としたBudd-Chiari症候群の1例
柿崎 健二, 高橋 通規, 菊地 安徳, 菊地 秀, 山内 英生
国立仙台病院外科
労作時の右季肋部痛,息切れのみを主訴に,他の症状を認めない比較的早期にBudd-Chiari症候群と診断しえた症例を経験した.発見の契機となったのは腹部超音波検査であり,肝静脈間の吻合,肝静脈血の逆流,肝静脈の膜様閉塞などの所見を得た.下大静脈の狭窄部の確認,質的診断には下大静脈造影,Magnetic Resonance lmagingが有用で,厚さ約1 mm,直径約6 mmの開口を有する膜様狭窄と診断した.これに対し井上式バルーンカテーテルによる経皮的拡張術を施行し,術前に認めた狭窄部上下での下大静脈内圧差は消失,症状の発現も全く認めなくなった.
索引用語
Budd-Chiari syndrome, ultrasonic findings, percutaneous transluminal angioplasty
日消外会誌 26: 2204-2207, 1993
別刷請求先
柿崎 健二 〒983 仙台市宮城野区宮城野2-8-8 国立仙台病院外科
受理年月日
1993年4月14日
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