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第26巻 第8号 1993年8月 [目次] [全文 ( PDF 545KB)]
症例報告

胆嚢原発未分化癌の1症例

松山 晋平, 川崎 誠治, 村上 真基, 宮川 真一, 嘉数 徹, 幕内 雅敏, 石井 恵子

信州大学第1外科, 同 中検病理

 症例は68歳の女性で,腹部腫瘤,閉塞性黄疸を呈し来院した.術前の腫瘍マーカーではneuronspecific enolase(NSE),carbohydrate antigen 19-9(CA19-9)の異常高値がみられた.術前画像診断にて胆嚢腫瘍を疑い,開腹手術を施行した.腫瘍は胆嚢原発で,横行結腸漿膜,胆管,肝臓,肝十二指腸間膜への浸潤がみとめられ,これらの合併切除を含め腫瘍を摘除した.摘出標本重量は2,105 gであった.組織学的には,腫瘍の大部分は個々の細胞の結合性が失われ特定の構造をとらない未分化な像であったが,一部では上皮性の性格を示していた.免疫染色では上皮性性格の明らかな部分にCA19-9,cytokeratinが証明され,胆道系上皮由来であることが確認された,胆嚢原発の未分化癌はまれであるが,早期に遠隔リンパ節に転移し,胆嚢癌の中でもきわめて予後不良であり,早期発見,早期外科的切除が望まれる.

索引用語
undifferentiated carcinoma of the gallbladder, neuron-specific enolase

日消外会誌 26: 2217-2221, 1993

別刷請求先
松山 普平 〒390 松本市旭3-1-1 信州大学医学部第1外科

受理年月日
1993年4月14日

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