症例報告
S 状結腸mucosa associated lymphoid tissueリンパ腫の1例
竹内 仁司, 小長 英二, 小林 元壮, 柏谷 昌昭, 安井 義政, 木村 幸男, 原野 雅生
国立岩国病院外科
大腸原発,特にS状結腸原発の悪性リンパ腫はまれである.また,mucosa associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫の概念は病理学者の間で同意が得られておらず,これまでにS状結腸原発のMALTリンパ腫の報告例はない.今回われわれが経験したS状結腸原発MALTリンパ腫の1症例を報告する.症例は54歳男性で,発熱を主訴として受診し,前立腺炎,クローン病の診断のもとに加療するも軽快せず,注腸検査でS状結腸にskipする粘膜粗慥な病変を2か所に認め,内視鏡所見が陥凹性病変から隆起性病変に変化してきたため悪性リンパ腫を疑って手術を施行した.病理組織検査の結果MALTリンパ腫と診断された.リンパ腫と炎症性腸炎疾患との鑑別診断に注意深い経過観察が重要と考えられた.
索引用語
mucosa associated lymphoid tissue lymphoma, malignant lymphoma of the sigmoid colon, Crohn's disease
日消外会誌 26: 2235-2239, 1993
別刷請求先
竹内 仁司 〒740 岩国市黒磯町2-5-1 国立岩国病院外科
受理年月日
1993年4月14日
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