原著
術後急性出血性胃粘膜病変に対する治療成績の検討―他の成因による急性出血性胃粘膜病変と比較して―
佐藤 浩一, 榊原 宣, 渡部 洋三1), 津村 秀憲1), 矢吹 清隆1)
順天堂大学第1外科, 順天堂伊豆長岡病院外科1)
急性出血性胃粘膜病変(出血性acute gastric mucosal lesions:AGML)を術後出血性AGML(以下,術後AGML)と他の成因による出血性AGML(以下,他のAGML)とに分類し,その治療成績を検討した.術後AGMLでは他のAGMLと比較し,露出血管が多く存在し,ショック状態を呈する症例が多かった.しかし止血有効率,再出血率,死亡率とも他のAGMLとの間に有意差はみられず,基本的には両群のストレッサーの強さに差がないと考えられた.術後出血性AGMLに対する手術療法の死亡率は100%と,手術成績はきわめて不良なため,H2受容体拮抗剤間欠静注法あるいはsecretin持続点滴静注法を主体とした保存的療法を試みるべきであると考えられた.
索引用語
postoperative acute gastric mucosal lesions, conservative therapy for hemorrhagic acute gastric mucosal lesions, continuous intravenous infusion of secretin, intermittent intravenous infusion of H2 receptor antagonist
日消外会誌 26: 2271-2279, 1993
別刷請求先
佐藤 浩一 〒113 東京都文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1993年5月11日
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