原著
残胃癌の悪性度に関する臨床的検討
森脇 義弘, 須田 嵩, 鬼頭 文彦, 今田 敏夫, 岡田 賢三, 岡田 卓子, 福澤 邦康, 秋山 浩利, 竹村 浩, 中村 宣子*
済生会横浜市南部病院外科, 同 病理*
胃切除後10年以上を経過した残胃に発生した癌(以下R癌)15例について,胃上部初発癌(以下C癌)123例と比較し,臨床的検討を加えた.R癌の早期癌は22%でC癌の早期癌26%と差がなかった.組織型は分化型が67%,浸潤度はαが31%とC癌のそれに比べやや多かった.切除率は87%でC癌の92%に比較して有意に低かった.治癒切除率は67%でC癌と差を認めなかった.生存率は術後1年半まではC癌より不良であったが,長期的には差がなかった.残胃の進行癌は全例2型,3型であったので,2型,3型に限った生存率をみるとR癌では不良であった.絶対治癒切除例に限ってもR癌の生存率は不良であった.核DNA量ヒストグラムパターンは,R癌ではaneuploid(A型)が75%,S期細胞分画(SPF)の平均は25%と,C癌のそれや諸家の初発胃癌の報告よりも高く,R癌の悪性度の高さを示すものと思われ,これがR癌の予後を不良なものとする一因と考えられた.
索引用語
malignant potential of remnant gastric cancer, DNA ploidy pattern of remnant gastric cancer
日消外会誌 26: 2280-2286, 1993
別刷請求先
森脇 義弘 〒233 横浜市港南区港南台3-2-10 済生会横浜市南部病院外科
受理年月日
1993年5月11日
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