胃癌十二指腸浸潤例の臨床病理学的研究

山本　清孝

東京女子医科大学消化器外科（主任：羽生富士夫教授）

　十二指腸浸潤下部進行胃癌に対する第3，4群リンパ節拡大郭清の適応指針を得ることを目的に，“第3，4群リンパ節転移程度は十二指腸浸潤部分の癌の容積に比例する”か否かについて臨床病理学的研究を行った．まず癌の容積を，術前の画像診断で十分判定可能な，1）十二指腸浸潤長，2）幽門輸上の深達度，3）幽門輪上の周占居率，4）十二指腸浸潤様式の4因子で代表し，おのおのの第3，4群リンパ節転移率から以下の結果を得た．（1）十二指腸浸潤長が10 mm以上，幽門輪上の深達度がpm以上，幽門輪上の周占居率が1/2周以上，十二指腸浸潤様式が深層型，全層型に第3，4群リンパ節転移率が高かった．（2）この4因子をスコア化して判別分析を行い，第3，4群リンパ節転移に対する有用な線形判別式が得られた．今後術前の画像診断により各因子をスコア化し，これをもとに線形判別式から第3，4群リンパ節転移の推定が可能であり，拡大リンパ節郭清の指針が得られると考えられた．

索引用語
gastric cancer with duodenal invasion, extended radical dissection of the lymph nodes, factors relating to meastasis to the lymph nodes beyond Group 3

別刷請求先
山本　清孝　〒162　新宿区河田町8番1号　東京女子医科大学消化器外科

受理年月日
1993年5月11日

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