原著
閉塞性黄疸における減黄率,減黄術後黄疸遷延化因子と血清IV型コラーゲン・7Sに関する検討
小峰 規靖, 初瀬 一夫, 斎藤 理, 庄野 聡, 青木 秀樹, 出井 雄幸, 村山 道典, 酒井 良博, 柿原 稔, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科
種々の疾患による閉塞性黄疸(以下・閉黄)においてその減黄前後,肝繊維化マーカーである血清IV型コラーゲン・7S(以下・7S)を測定し,減黄率および黄疸遷延化因子との関係を検討した.対象とした閉黄24例の減黄前の7Sは,正常対照に比べて有意に高かった(p<0.001).年齢,性別,閉塞部位による差はなく,閉塞持続期間との相関もなかった.減黄率b値を減黄効果の指標とし,良好群(b<-0.09),比較的良好群(-0.09≦b<-0.05),不良群(b≧-0.05)の3群に分けると,不良群の7Sは良好群に比べ有意に高く(p<0.01),減黄率b値と7Sの間には,r=0.571,p<0.005の有意な相関を認めた.また胆汁細菌陽性例の7Sは,陰性例に比べて有意に高く(p=0.016),さらに白血球数とは,r=0.536,p<0.01の有意な相関を示した.また3群とも,減黄後の7S値に大きな変動は認めなかった.以上から減黄前7S値は,黄疸遷延症例を予測するうえで,有用な指標になると思われた.
索引用語
obstructive jaundice, type IV collagen (7s domain), prolonged jaundice, bile infection
日消外会誌 26: 2302-2307, 1993
別刷請求先
小峰 規靖 〒359 埼玉県所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1993年5月11日
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