原著
周術期における血漿エンドトキシン濃度の推移および術前血清蛋白値との関連についての検討
藤田 哲二, 尾高 真, 松本 美和子, 桜井 健司
東京慈恵会医科大学第1外科
周術期における血漿エンドトキシン濃度の推移,および栄養状態がそれにおよぼす影響を検討した.対象は37人の消化器外科手術患者で,術中門脈血を採取しそのエンドトキシン濃度と術前血清アルブミン濃度との関連を検討した.本研究後半の連続した17人の患者に対しては,術前アルブミン以外にrapid transport proteinsの血清濃度を測定し,門脈血エンドトキシン濃度との関連の有無を求めた.さらに術前後の末梢静脈血漿エンドトキシン濃度の消長を追った.
術前血清アルブミン濃度と門脈血エンドトキシン濃度との間には有意な関係は認められなかったが,補体第3因子およびハプトグロビンの術前血清濃度と門脈血エンドトキシン濃度との間には負の相関があった.末梢静脈血漿エンドトキシン濃度は術中に術前の約3倍になったが,術後1日目には術前値に戻った.低栄養状態の患者では術中にエンドトキシンが門脈内に漏出しやすいと思われる.
索引用語
changes in endotoxin levels in the perioperative period, effect of nutritional status on endotoxin levels
日消外会誌 26: 2321-2325, 1993
別刷請求先
藤田 哲二 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第1外科
受理年月日
1993年5月11日
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