フローサイトメトリーによるDNA heterogeneity検出のための新しいヒストグラム分類の試み

伊佐　勉, 野村　謙, 富田　秀司, 玉井　修, 照屋　剛, 出口　宝, 草野　敏臣, 武藤　良弘

琉球大学第1外科

　Flow cytometry（FCM）によるDNAヒストグラムの新しい分類を行い，1検体での定量による腫瘍内heterogeneityの検出を試みた．そして，顕微蛍光測光法（static cytofluoro metory；SCM）による成績と比較してその精度を検討し，さらに臨床病理学的所見や予後との関連を検討した．大腸癌30例を対象とした．コンピューターによるDNAヒストグラムのシミュレーション結果を参考にして，aneuploid patternをcoeffcient of variation（CV）値を利用しA1 patternとA2 patternに分類した．Diploid pattern 10例中9例（90％）がSCMでhomogeneity，A2 pattern 12例中10例（83.3％）がSCMでheterogeneityを示し，SCMの成績とよく一致した．肝転移，リンパ節転移はA2 pattern症例に陽性率が高く，進行度はA2 pattern症例に進行した症例が多い傾向がみられた．本分類はheterogeneityの検出に有用であり，臨床病理学的所見との関連を追及するのに有用な分類法であると考える．

索引用語
hete ogeneity, ploidy typing of DNA histogram, flow cytometry, static cytofluorometry, colon cancer

別刷請求先
伊佐　勉　〒903-01　沖縄県西原町上原207　琉球大学医学部第1外科

受理年月日
1993年5月11日

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