症例報告
切除副肝の5例
飽浦 良和, 阪上 賢一, 松本 剛昌, 伊波 茂道, 斎藤 信也, 藤原 拓造
倉敷成人病センター南くらしき病院外科
肝の奇形の中でも極めてまれな副肝を5例経験したので報告する.症例は34~65歳,男性2例,女性3例であった.いずれも術前には副肝と診断できず,胆石症,早期胃癌の術中に偶然発見された.存在部位は胆嚢周囲4例,肝十二指腸間膜1例で,大きさは最大径7~17 mmで,いずれも1個のみであった.組織学的にはいずれもグリソン鞘,中心静脈を有し,小葉構造を呈する正常肝組織であった.
副肝は術中,剖検,腹腔鏡検査に際し偶然発見されることが多く,臨床症状を呈することはまれである.存在部位は肝周囲が大半を占め,とくに胆嚢周囲に多く,大きさは5 cm以下が大半を占める.組織学的には小葉構造を有する正常肝組織像を呈することが多い.
術中の詳細な検索,画像診断の進歩などにより,症例の増加が予想される.
索引用語
ectopic liver, liver anomaly
日消外会誌 26: 2343-2346, 1993
別刷請求先
飽浦 良和 〒710 倉敷市白楽町250 倉敷成人病センター
受理年月日
1993年5月11日
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