症例報告
盲腸原発悪性リンパ腫の1例
小林 道也, 緒方 卓郎, 荒木 京二郎, 遠近 直成, 安藤 徹, 大海 研二郎
高知医科大学第1外科
骨盤腔を占居する巨大腫瘤を形成した盲腸原発悪性リンパ腫の1例を報告する.症例は17歳の男性で,立ちくらみを主訴に近医受診,貧血と下腹部腫瘤を指摘されて当科紹介となった,入院時検査成績では鉄欠乏性貧血を認めたが,腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.腹部超音波検査,CTで骨盤腔内に内部に消化管を巻き込んだ巨大腫瘤を認めた.注腸造影で上行結腸に狭窄を認め大腸内視鏡でこの部に表面顆粒状の腫瘤を認め,生検でmalignant lymphoma,diffuse medium cell typeと診断された.上腸間膜動脈造影では腫瘤は回結腸動脈に栄養されていた.開腹時所見では骨盤腔を占居した腫瘤に背側より回腸末端が流入していた.右半結腸切除術と3群までのリンパ節郭清を施行した.切除標本では腫瘤は盲腸より発生しており,病理組織診でB細胞由来の悪性リンパ腫と診断された.術後化学療法を追加し軽快退院した.
索引用語
malignant lymphoma of caecum, diagnosis of colorectal malignant lymphoma, treatment of colorectal malignant lymphoma
日消外会誌 26: 2372-2376, 1993
別刷請求先
小林 道也 〒783 南国市岡豊町小蓮 高知医科大学第1外科
受理年月日
1993年5月11日
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