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第26巻 第10号 1993年10月 [目次] [全文 ( PDF 548KB)]
症例報告

リンパ節転移をきたした肝細胞癌の2切除例

森田 俊治, 後藤 満一, 永野 浩昭, 左近 賢人, 金井 俊雄, 梅下 浩司, 若狭 研一1), 桜井 幹己1), 中村 仁信2), 黒田 知純2), 門田 守人, 森 武貞

大阪大学第2外科, 大阪市立大学病理部1), 大阪大学放射線科2)

 リンパ節転移をきたした肝細胞癌の切除症例を2例経験したので報告する.症例1は72歳の男性で,肝前区域の直径約3 cmの肝細胞癌の診断にて,transarterial chemoembolizationを施行後開腹手術を施行した.開腹時に傍大動脈リンパ節の肝細胞癌の転移を1個認めたため,その摘出に加え肝右葉切除を施行した.消化管出血にて死亡したが術後4年間の長期生存をえた,症例2は55歳の男性で,肝S6に直径約9 cmの腫瘍と傍門脈領域の複数のリンパ節腫脹を認め,開腹手術を施行した.術中迅速病理組織診にて肝細胞癌のリンパ節転移と診断され,腫大したリンパ節の全摘出に加え肝S6亜区域切除術を施行したが,術後3か月にて残肝再発を認め,4か月目に癌死した.文献的考察の結果,転移したリンパ節の個数が1個のみである場合はその切除により長期生存が可能となることが示唆された.

索引用語
hepatocellular carcinoma, lymph node metastasis of hepatocellular carcinoma, hepatic resection

日消外会誌 26: 2449-2453, 1993

別刷請求先
門田 守人 〒553 吹田市山田丘2-2 大阪大学医学部第2外科

受理年月日
1993年5月11日

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