特集
m,sm癌の治療法選択における超音波診断の有用性―粘膜筋板描出によるアプローチ―
村田 洋子, 鈴木 茂, 杉山 茂樹, 林 和彦*, 山本 清孝*, 笹川 剛*, 喜多村 陽一*, 鈴木 衛*, 井手 博子*, 山田 明義*, 鈴木 博孝*, 羽生 富士夫*
東京女子医科大学消化器内視鏡科, 同 外科*
高周波数超音波プロープを用い,粘膜筋板の描出し,これによって,消化管表在癌,m,sm癌の鑑別をおこなった.装置はリニア型細径プローブ(sp-101),15,20 MHzを使用した.検討症例は組織と対比可能であった表在性癌70例(粘膜切除は26例)である.食道癌の深達度正診率は,ep癌は100%,m癌は56%,sm癌は100%,計82%であった.胃癌の深達度正診率はm癌は58%,sm癌は88%計70%であった.胃m癌の正診率が低いのは,潰瘍,瘢痕によって粘膜筋板が破壊されたものと,癌腫による破壊との鑑別が困難なためであった.そこで瘢痕,潰瘍の有無別にみると,潰瘍,疲痕の合併のない深達度正診率は93%,潰瘍,瘢痕の合併では17%であった.大腸癌深達度正診率はm癌93%,sm癌100%計95%であった.そこで瘢痕組織による粘膜筋板の破壊が認められない場合は,高周波プローブはm,sm癌の鑑別が正確に行え治療法選択に有用であった.
索引用語
endoscopic ultrasonography, diagnosis of the depth of cancer invasion in GI tract, superficial cancer in GI tract
日消外会誌 26: 2512-2516, 1993
別刷請求先
村田 洋子 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器内視鏡科
受理年月日
1993年6月14日
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